日本飛行船/Nippon Airship Corporation

あなたの街に舞い降りる夢の船。(株)日本飛行船は、ツェッペリンNTの運用を通じて、夢とゆとりのある社会の創造を目指します。
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飛行船コラム/VOICE!


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高度1000フィートコラム「VOICE!」
このコーナーは、ツェッペリンNTにご乗船された様々な分野のプロフェッショナルの方々に寄稿いただいた飛行船コラム集です。書く、撮る、描く、語る。各界のプロが贈る高度1000フィートの世界からのメッセージをお楽しみください。

最新VOICE! 飛行船随想/忍田直久 氏(カメラマン)

青い空に浮かぶ飛行船を見上げながら「乗ってみたい」と誰でも一度は思うのではないだろうか。それは高齢者にとっても同様である。
昨年11月から始まったZeppelinNTによる飛行船遊覧クルーズは多くの高齢者にとって朗報であったと思う。

飛行船は他の旅客機や小型飛行機に比べて離着陸時や飛行中身体にかかる負担が非常に小さい。これは他の航空機が空気中を自らが速く進むことにより揚力を作り出していることに対し、飛行船は船体そのものに空気より軽い気体ヘリウムガスを内包することにより浮力を生み出す点で大きく異なる。飛行船が浮かぶのは必然なのである。
空を飛ぶことは非日常的な体験であるにもかかわらず、あまりに簡単に空に上がってしまうので夢心地のような気分になる。こうしたことから、高齢者が気軽に安心して空の散歩をすることが可能なのである。
また、高齢者にとって長時間座っていることは腰痛になるなど身体的に辛いが、離陸後程なくしてシートベルトサインが消えると、マイクロバス程度の広さで気密性の保たれたキャビン内を座席の背につかまりながら歩くことができ、トイレも完備されているので安心できる。
両側の大きな窓とともにパノラマウィンドウと呼ばれる後部に備えられた窓はZeppelin NTならではのもので、長く伸びる船体と変わる景色はいつまでも飽きることなく眺めていたい気分にさせてくれる。

東京周遊コースの90分間は、上空400M〜500Mを車と同じ位の速度で飛行するので、東京の名所が次々と見えてきて瞬く間に過ぎてしまう。この高さとスピードが世間を見るのに適しているのである。
一回の飛行で搭乗できるのが8名で、予約した日が晴天であっても風が強ければ運航は中止となる。また、高温多湿の日本の気象条件はドイツ生まれハイテク飛行船Zeppelin NTにとっては厳しく、時には機嫌が悪くなったりする。
つまり当日の天候条件や飛行船の状況によるので「絶対に飛べる」ということは直前までわからず、高い料金を払っているにもかかわらず飛べないこともある。
この点を理解できる人だけが至福の時間を与えられる。まさに「飛行船に乗れるのは幸運である」と言えよう。

飛行船に搭乗する人たちは不思議と親しくなる。
中には三回目でようやく希望がかなった人や、遠方から来てホテルに一泊してやってきた人、家族からの特別なプレゼントで乗る人など様々である。そうした思いを乗せて飛行する90分間は非常に濃密な時間である。
よく「飛行船に乗るとどんな感じ」と聞かれる。これは言葉や映像では伝えられない世界なのである。
特に、ナイトフライトは昼間とは違った趣がある。地平線が青く浮かび街の灯りが少しずつ点る時刻は、昼と夜の狭間の美しい光景が繰り広げられる。そして、あたりが闇に包まれると飛行船のゴンドラの周りが、例えで言う「宝石箱をひっくり返した」状態になり、それはもう言葉では表現できない世界が広がるのである。誰もが「このままずっと飛んでいたい」気持ちになるに違いない。
一度飛行船に乗ってしまうとやめられなくなってしまう。現に身近な高齢者で一月と夏の花火に搭乗し、この秋の遊覧を待ち望んでいる方がいる。
飛行船は不思議な乗り物である。見上げても乗っても幸せな気分にさせてくれるのである。

我々は日常生活の中で「絶対」という言葉をよく口にするが、飛行船のクルーたちは、古代から人々が自然に対して畏敬の念を持っていたのと同様に気象条件に謙虚である。「絶対」という言葉を使わず「自然体」で飛行船を運航している。
この点で現代の作業効率や生産性に照らしてみれば飛行船は不確実であると言わざるを得ない。
しかし、文明の力で地球環境を変えてきた我われは、最近の原油価格高騰により航空輸送のあり方を見直す時期にきている。そうした中「自然体」である飛行船の時代がまたやってくることを願って止まない。





■幸せを呼ぶ飛行船(Zeppelin NT)
2008年1月3日撮影/東京遊覧クルーズ1便(10:30) Take off(桶川運航基地)

(C)Photo by oshida naohisa

コラム執筆者紹介

忍田直久 氏(oshida naohisa)

1960年生まれ。幼少の頃に、軟式飛行船「日立キドカラー号」に出会う。1984年当時、日本国内で運航されていたSkyship500、留学先のサンフランシスコで出会ったSkyship600に魅せられ自らも1988年にJALグループの日本飛行船事業株式会社に入社。1996年の同社業務終了に伴い、航空業を離れるが、以後今日に至るまで国内の飛行船を本業の傍ら撮り続ける。



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